Touring Reports 2006
23. 久里浜-金谷-南房総-鴨川-金谷-久里浜 2006/12/02(土) 房総フラワーライン

「お兄さん、バイク何乗っているの?」
東京湾フェリー、金谷へ向かう途中の展望デッキ。
テーブルの上に置いていたアライを見つめながら初老の男は尋ねた。



男は小柄で頭も白い。そして手に持つビデオ。
バイクの名を言ってもわからないかなと、
「400です」
「ホンダ?、カワサキ?」
「カワサキです」
「そう、私もバイク乗っていてね、東名で事故して3日前まで入院してたんだよ」

まさかバイク乗りだとは思わなかったが、乗っているバイクはBMWのR100RS。
渋滞の直前でブレーキをかけたが転倒、バイクは滑って渋滞最後尾の4輪に衝突。
本人は鎖骨と肋骨を数本折ったそうだ。

「気付いた時には救急車の中だっんですか?」
「いやいや、半分自力で帰ったよ」
警察が来たものの、大型二輪免許保持者が居なかったため、
エンジンガードで守られて走行には支障が無かったバイクに乗って
次のインターまで走ったそうだ。

帰宅後に入院し、退院まで3週間弱、そして今からバイククラブの忘年会で
白浜まで行くそうだ。もちろん4輪でだけど。

何という根性。バイクもバイクならライダーも65歳とは思えない。
金谷に着くまでバイクの話で相手をさせてもらった。

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午前7時半、遅めの出発ながら気温は摂氏4度。
差すように冷たい空気がシールドの隙間から入り込んでくる。
R16は交通集中による渋滞で、矢口陸橋あたりから動きが鈍くなり、
横浜町田インター手前はすり抜けも難しい。
渋滞は続き、横浜横須賀道路に入るまで気をすり減らすことになった。



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渋滞で、乗ろうと考えていた9時10分のフェリーには間に合わなくなった。
衣笠インターで降り、衣笠−北久里浜と寄り道してペリー上陸記念碑前。
暖かくなってきたので、履いていたオーバーパンツを脱ぎ、フェリー乗り場へ向かう。



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順番待ちの列に並ぶと、18台分ある白枠に入れない。
数えると21台目である。これでは10時5分のフェリーに乗れない。
11時で良いやと往復券を購入すると、バイク乗車開始のアナウンスが流れた。
チケットを回収に来る係りに前に並んでいたグループが何かたずねている。
どうも8台のグループで内2台が乗れないらしい。
次便に変更したグループにお礼をして、先に行かせてもらうことになった。







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金谷からR127、保田を過ぎ、勝山で脇へ入る。
海を眺めながらのんびりとしたいところだが、冬の日は早い。
先を急ぐ。



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大房岬手前から県道を通り館山。ここから県道257に乗り洲崎へ走る。

内房を走る県道257は本当に海の近くを沿うように道があるのだが、
道路に溜まった砂の上を走らなければならない場所もあり、気を抜けない。
しかも、やけに風が強くなり、停まって写真撮ろうという気にもならなかった。

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洲崎から房総フラワーラインへ。
その名の通り、春先から花のドライブウェイになるらしいが、
この時期は寒椿だけが花らしい花である。
房総フラワーラインは2月以降、早めの春を感じに走るのが良いのかもしれない。



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白浜からフラワーラインを外れ、海沿いを走る。



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野島崎、写真を撮っていると潮飛沫が襲ってくる。
風は嫌いだ。



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房総フラワーラインに戻り、R128。
和田にある「くじら家」で遅めの昼食。
こじんまりしているようで座席数は30もある。



竜田揚げと迷ったが、刺身定食を頼んだ。
小さかった頃、くじらは毎日のように食卓にあった。
貧乏人の牛肉みたいで嫌いだったと語ったのはフェリーのオヤジさん。

昔は、くじらの刺身は冷凍を切った四角いやつ。
残った氷の感覚が好きだったので、食感が違う生の刺身は合わない。
次に来る機会があれば、竜田揚げにしよう。



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「あそこに見える漁船は北海道まで行ってマグロ取って来るんだ」
続けて、
「銛打って、電気流して一発なんだ」
「そ、そうなんですか、ここから北海道まで行くんですか」
「全部じゃないが、速い船は行って来るんだ。
マグロ300kg、キロ1万円とすると1匹かけりゃ300万だ」
知らないオヤジがいきなり話しかけてきた。



「マグロ行かない時は、サザエにアワビ、1日20kg、これで1日20万」
どうも、自分のことでは無いようだが、あえて聞かないことにした。

「そこに見える仁右衛門島は、住んでいる平野家の子が、
昔から仁右衛門という名を継いでいるんだ」
「えっ、島は個人の所有なんですか?」
「そうだよ。今は、長男はサラリーマンなんで、次男が継いでいるんだ」
「そして次男には未だに嫁が来ない」
そんなこと言われたってと思ったが、あえて突っ込まない事にした。

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鴨川の町を抜け、県道34。ここから帰路だ。
R410の交差点まで4輪について走っていたが、信号でパスした後は一人旅。
横根峠を越え、保田まで一気に走る。



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一気に走り過ぎた。

金谷発16時25分に乗れば、船上で海に落ちる夕日が見られる。
ところがフェリー乗り場に着いたのが、1本前の15時30分が
まだ出港していない時間。早く着きすぎてしまった。

混んで乗れなければ悩む事は無いが、並んでいるバイクは10台。
風は一段と強くなっており、駐車場の海側は飛沫があがっている。
往復券の半券を係りの人に渡して乗船を決める。



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船酔いしやすくフェリーも東京湾フェリーの35分位が限界である。
強風で白波が立つ海上を進む船は、前後に揺れ、時たま船首を波が洗う。
本当は外の空気を吸いたいのだが、我慢して船室で過ごす。



強風の中、無理して外に出る。
どこかにつかまっていないと真っ直ぐ立っていられない。





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帰りも衣笠から横浜横須賀道路に乗る。
いつものことだが、狩場から渋滞。
延々と続く渋滞をすり抜けて相模原まで帰ってきたが、
4輪のように並ばなくて良いとは言え、流石に疲れ果てる。

帰宅、18時。

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【12月2日走行データ】
走行開始、29,291.5km。
走行終了、29,545.4km。
走行距離、253.9km。(路上距離)



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